温度を調節してみよう
温調、温調言うけれど、機器を引っ付けたら調節できた。
結局、何がポイントだったのかよく分からないまま、温度だけを変えている。
そんなんじゃ、面白くないですよね。
どうも!ずぶ です。今回は 温度を調節してみよう
まずは、ヒーターを繋いでみよう
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2018/11/ヒーター1.png)
当たり前ですが、繋ぎさえすれば、ヒーターは発熱します。
保温や霜とり等で使用する、低ワットのラバーヒーター などが該当しますね。
通電開始からの、ヒーター自体の温度グラフは、この様になります。
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2018/11/グラフ2.png)
通電したら、即アチチ です。
対象物を温める 場合の温度グラフは、こんなのですね
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2018/11/グラフ4.png)
水槽をヒーターで温める のを想像して下さい。
ヒーターに対して、遅れて温度が上がって 来ますよね。
でもって、いつかは熱均衡点で安定 します。
次に、出力が大きなヒーターと、小さいヒーターの温度グラフも並べてみましょう。
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2018/11/グラフ3.png)
もちろん、ヒーター出力が上がれば、到達温度は上がり温度上昇時間も早くなります
逆もまた然りです。
この構成だと、温度が、上がる所まで上がる。それだけです。
温度調節というのは、無理がありますね。
ちなみに、こちら等は取り回しも良く、とても使い易いですよ。
温度を調節しよう
調節するには、調節する為の機器を取り付けなければなりませんよね。
フィードバック用に温度計も必要です。
調節する為の構成
先ほどの構成に、温度調節ができるように手を加えます。
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2018/11/ヒーター2.png)
コントローラは 温調器
温度計は 熱電対 や 測温抵抗
ただのリレーなので、操作部を 有接点 に変えても操作はできます。
できますが、
温調制御は、何千、何万と入り切りを繰り返します。
なので SSRを使用しなくては、接点寿命が持たない のです。
温度調節の方式
を考える前に、ヒーターを扱う上でよく使う用語を3つ覚えておきましょう。
現在値 = PV (Process Value)
操作量 = MV (Manipulated Variable)
温度を調節するにあたって、目標温度が熱均衡よりも低くなければ なりません。
ヒーターの限界値よりも、上の温度には行けないですよね。
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2018/11/グラフ5.png)
それでは、温調方式を見て行きましょう。
出力固定方式
スライダック や SCR 等を使用して、MVを一定 にする方法です。
その際のグラフ
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2018/11/グラフ7.png)
ヒーターの能力値を、赤線まで落として使っていますので、
SV到達時間は、遅い です。
出力の低いヒーターを使用しているのと、同じ意味ですものね。
また、外乱に依存します(夏は高めで、冬には低めになることでしょう)
精密制御には不向き です。
安定しない流体や、ON/OFF制御やPIDで温度が収束しない場合に用いる事もあります。
ON-OFF制御方式
SV以下 なら、ヒーターON
SV以上 なら、ヒーターOFF
簡単で、分かりやすい制御方式です
その際のグラフ
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2018/11/グラフ8.png)
SV到達時間は、最速 です。
制御の性質上、オーバーシュート した後、ハンチングを繰り返し ます。
精密制御が不要の場合、一般に使われる制御方式です。
PID制御方式
前もって設定してある パラメータで演算して、ヒーターを制御する方法です。
パラメータの頭文字が PID となり、それぞれ
積分時間 =I (Integral)
微分時間 =D (Differential)
その際のグラフ
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2018/11/グラフ9.png)
SV到達時間、温度目標値に安定するまでの時間、共に十分早いです。
比例帯に入るまでは、ON-OFF制御で動き、入ってからは積分時間を元に微調整を掛けて安定動作に導きます。
グラフで、ヒーター曲線からの乖離ポイントが、まさにPIDに変化した瞬間です。
ちなみ P が 0 だと、比例帯は発生しないので、ON-OFF制御 となります。
PID は 対象物の比熱 や 外因の全て を、ひっくるめてパラメータ化です。
なので、違う対象物 や 温度によって性質が変わる対象物 の場合、そのタイミングで違うパラメータを書き込まなければなりません。
普通は AT(オートチューニング)を使用し、当たりを付けた後パラメータを崩して行きます。
まとめ
温度調節を行う場合の注意点は紹介させてもらった範囲で、殆どが網羅できます。
温度調節で難しいのは、最初に出てきた、ヒーターに対して対象物の温度追随の遅れにあると言えます
中々冷めない(例えば中華あん)のような対象ですと、オーバーシュートすると全然下がってこないような事もありますので、冷却水を回しながら加熱する といった方法もあります。
対象物が、ヒーターON/OFFに対してすぐ追随するもの程、調節し易いのです。
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