原点復帰の作り方
位置決めや電動スライダー等を使用すると、原点復帰やHOME動作というものが必要ですね。
あれと同じ事が、装置全体にも言えます。
動作を担保する為の最初の最初に必要な動作。
どうも、ずぶ です。今回は 原点復帰の作り方
原点復帰の目的
まずはイメージし易いように、構成図を見てみましょう。
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2018/11/構成1.png)
ローダーのワークを、チャンバーで処理して、アンローダーに払い出す。
何の事はない装置ですね。
ですが、位置決めで駆動している装置が、原点復帰を必要としている状態というのは、装置的にはこう見えている事を意味します。
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2018/11/構成2.png)
見えてませ~ん
この状態から、搬送機がどこにあるのかを装置に分からせるのが、原点復帰の目的となります。
逆に、センサーストップ系の装置の場合は、話が早いですよね。
それでは一緒に、原点復帰の作り方を見ていきましょう。
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原点復帰の階層
いきなり装置全体の原点復帰を考えるのは、あっちもこっちもと、しんどいです。
なので、原点の階層を意識して、それぞれを考えるとスッキリします。
イメージはこうです
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2018/11/階層.png)
どこぞの組織図のようですね。
軸原点 の集まりが ユニット原点
ユニット原点 の集まりが 全体原点
このように考えておけば、大がかりな装置が来たとしても、つらつらと繋げて行くだけで、やる事はいつもと同じになってくるので、迷いは少なくなります。
一旦、用語を纏めます
― 上下軸だけ、左右軸だけといった、単発駆動部の原点
ユニット原点
― 上下軸、左右軸両方が原点にいて、搬送機がスタンバイ状態
全体原点
― 搬送機1、搬送機2がスタンバイ状態になり、いつでも処理可能である状態
軸原点復帰を作ろう
この階層で重要になるのは、原点復帰の方向 です。
装置的には、先のイメージ図のようにブラインド状態になっているのですから、ここでのコツは
想定されうる最悪のポジション を考えること。
今回の構成を元に、軸原点復帰の方向を考えてみましょう。
上下軸の原点復帰方向
下降する上で、最悪のポジションは、どこでしょうね?
恐らく チャンバーの壁上 ではないでしょうか。
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2018/11/構成3.png)
ここで下降を始めると、ガッチャンコ ですよね。
上昇はどこでも大丈夫そうです。
そんな訳で、
上下軸の原点復帰方向は、上昇側 が良さそうです。
左右軸の原点復帰方向
走行する上で、最悪のポジションは、どこでしょうね?
恐らく どちらかがチャンバーの中にいる 事ではないでしょうか。
その状態で、反対側の搬送機が寄せてきた場合、ガッチャンコ ですよね。
そんな訳で、
左右軸の原点復帰方向は、チャンバーから離れる方向 が良さそうです。
軸原点復帰の注意点
センサーサーチ式の原点復帰を選択している場合、上下軸ならば上方向に原点サーチを行い、上端付近で ORG センサーを発見できるような配置にします。
やばそうな場所から逃げて行って、帰ってこないような動きです。
原点復帰動作自体は、位置決めコントローラ等の、コマンドに頼るとらくちんです。
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ユニットエラーを解除して、安全方向に原点復帰動作を掛ける。
それだけです。
ユニットエラーを解除して、原点復帰動作を掛ける。
ユニット原点復帰を作ろう
この階層で重要になるのは、動作順序 です。
上下軸を下ろしたまま、左右が走行すると・・・
まぁ、その日の内には帰れなくなりそうですよね。
この装置だと、上下軸が上がったのを確認して、左右軸を動かすといった、動作順序が必要 になってくるのです。
ユニット原点復帰を、単独動作させる必要はありません。
相互干渉が有りすぎて、結局 他ユニットの動作にも及んでくる からです。
なので、順序まで考え込んだユニット原点のルーチンは、次の全体原点復帰の際に、装置側から呼んでもらうようにします。
全体原点復帰を作ろう
この階層で重要になるのは、動かすユニットの順番 です。
今回の構成図だと、搬送機を同時に動かしても問題はなさそうですが、装置によっては、
ユニット1を制御下に置いて逃がした後に、
ユニット2の原点復帰を開始するといった動作の順番が必要となります。
プログラム
全体原点復帰の指令を受けて、順番が来たらユニット原点復帰が動くような回路を作ります。
全てのユニットから、原点復帰完了信号が返って来たら、全体原点復帰の完了です
先ずは、全体原点復帰の指令を書きます。
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2018/11/プログラム4.png)
ユニット原点が全て完了したら、全体原点復帰の指令を落とすようにしています。
ユニットのエラーが解除出来ない。等の理由で原点復帰が終了しない事もありますので、タイムアウトで指令を落とすようにしています。
それを受けて動く、ユニット原点復帰を繋げます
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2018/11/プログラム5-2.png)
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2018/11/プログラム6-1.png)
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2018/11/プログラム7-1.png)
(例えば、シャッター開信号や搬送機2の原点復帰完了信号など)
M911-M912で軸原点復帰
M912-M913で位置決め駆動
を行います。
まとめ
軸原点用の停止センサー(ORG)が、全ての位置決めポジションの要です。
このセンサーを動かすと、基準点がずれる事となる為、動かした分だけ全てのポジションがずれてきます。
決して、安易に動かしてはいけません。
ソフトによっては、位置0 決め打ち(軸原点復帰完了地点)でないと動かないように作ってある場合がありますが、それをされると調整が全く効かなくなります。
少し擦ったりするのを、避けたいだけなのに、センサー箇所までアクセスして ORG センサーを動かして、ORG センサーが動いたから、他の場所も再ティーチングを掛けて・・・と、折角、位置決めを使用したのに、残念な事になってしまいます。
ORG センサーは原点復帰用として、ポジションセンサーとしての併用は避ける べきでしょう。
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