三菱シーケンサのF(アナンシェータ)について

GT Designer

棲み分けが、今一ピンと来ないアナンシェータ

 

ユーザーズマニュアルには、

「異常・故障検出用のプログラムに使用すると便利な内部リレーです」

と書いてありますよね。

 

どこら辺が便利なのか?一緒に見ていきましょう。

 

どうも! ずぶ です。今回は 三菱シーケンサのF(アナンシェータ)について

アナンシェータの意味

まずは、言葉の意味を見てみましょう。

各メーカーさんが、アナンシェータリレー という物を出しています。

 

 

こちらは、OMRON 有接点アナンシェータリレー です。

 

タイムチャート

 

つまり、

 

アナンシェータ というのは、

警報+ブザー+ランプ+復旧

そういう システムひっくるめての動作 を示す言葉なのです。

 

動作を表す言葉だからこそ、F(アナンシェータ)デバイスは「異常・故障に使うと便利です」みたいなフワッとした表現になっているのですね。

 

F(アナンシェータ)システム

マニュアルから引用

 

簡単にまとめると

Fの番号をSDで管理する。

Fが立ったら、SMが保持する。

USER.LEDが光る!

 

の 3つ の動作があるのですね。

 

ちなみに、USER.LED ってのはコレ

 

 

F、SM、SD これらを上手に組み合わせて、アナンシェータシステムを組めば良いのですね。

とはいえ、少しクセのあるデバイスなので、一つ一つの動きを確認して行きましょう。

 

SM や SD というのは、シーケンサ システムが予約しているエリア なのでしたね。

もちろん CPUにより特殊レジスタ領域が違います ので、「各CPUのユーザーズマニュアルを参照して下さい」と記述してあるのです。

機種が違っても、動きは同じです。手持ちのシーケンサに置き換えて考えて下さいね。

 

 

Fの動き

ただの内部コイル です。

OUT( F0 )でオン するし、自己保持回路 だって組めます。

 

ただ一点

〔 SET 〕〔 RST 〕の動作が、通常のMデバイスとは違います。

 

こちらを見て下さい

 

常時ONにぶら下がっているコイルに対して、B0でリセットを掛けた後 の回路です。

M0 はオンしているのに、

F0 はオンしていませんよね。

 

 

〔 SET 〕〔 RST 〕を逆に配置した場合も同様です。

 

 

 

つまり〔 SET 〕〔 RST 〕にFを使用すると、自動的にエッジリレー化 されて処理されるのです。

 

ちなみに M0 を立ち上がりパルスにして等価回路にすると、こうなります。

 

 

SM62の動き

Fの 立ち上がり をキャッチして、保持している特殊リレー です。

 

F1 だろうが、F1000 だろうが、とにかく Fデバイスが立ち上がった瞬間ON して、

〔 RST 〕を使用して立ち下げた瞬間OFF します。

 

細部は違いますが、ヘルプに記載されている、サンプルコードです。

 

これに手を加えて、通常のOUTに変えてみましょう。

 

 

OUTが落ちた後も、SM62は保持 されています。

解除はFの〔 RST 〕を使用 して立ち下げなければならない のですね。

 

SDの動き

Fの立ち上がり、立下りを記録していく 特殊レジスタ です。

 

ON中のFの番号を 16個 までスタックします。

OFFになったFの番号は抜かれて、詰められていきます。

 

テスト用サンプルを作りましたので、見てみましょう。

プログラムはこう

 

ここでは、F1はOUT命令である事を確認して下さい。

 

ではさっそく

B1~B4迄を順番に押下して行きます。

SD62~に数値が入ってきました。

 

次に、B11 を押下します。(F3に対する、単独リセットです)

 

スタックから、F3が抜かれて詰められ ましたね。

( SD66の箇所です)

 

再度、B3 を押下します。

 

順番が入れ替わって、4番目にONの場所にF3 が来ましたね。

( SD67の箇所です)

 

 

最後に B10 を押下して、〔 BKRST 〕を動作させます。

 

お気づきでしょうが、このコードのままだと、アラーム条件が発動中のFまで解除 されてしまいます。

 

こんな感じになっちゃいます。

 

Fの説明で見たので、理由はお分かりですよね。

 

成立中のアラームを再突入させるには、

〔 BKRST 〕の突入条件を工夫するか、〔 SET 〕再起動させるかしないといけませんね。

 

 

まとめ

F(アナンシェータ)の主目的は、アナンシェータリレーの置き換えです。

実配線 対 シーケンサ となった場合、スキャンタイムというハンデ があるからこそ、
誤検知と速さ に重きを置いているのですね。
〔 SET 〕を使用するとスキャンタイム が伸びないのです。

 

とはいえ、メーカーさんの弛まぬ努力のおかげで、今や十分過ぎる速さです。

 

これらを踏まえて

各デバイスが、「このような動きをする」と理解していれば自分の装置への組み込み方も工夫できますね。

 

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