ステッピングモーターの基本

シーケンサ

お手頃価格で位置決めをしたい!
命じた通りに動いてくれて、普段は動かずじっと待ってる
そんな忠犬のようなモーターを使ってみましょう

どうも!ずぶ です。今回は、仮想の時計モーターを使い、ステッピングモーター説明していきます

ステッピングモーターの基本

1パルス受け付ける毎に、1ステップ動く
そんな理由から、パルスモーター や ステッピングモーター と呼ばれます

詳細はこちらを参照 wikipedia ステッピングモーター

ざっくり言うと、1秒毎にチクタク動く時計のさらに凄い奴ってことです

まずは、その時計を想像してみましょう

60秒360度、中心シャフトが回転しますよね
という事は、360÷60=6
1パルス6度動く訳です。これをステップ角と呼びます
1分間に1回転なので、回転速度は1rpm

立派な時計モーターです。

時計モーターを180度回したい(秒針を30秒の場所)場合、30パルス を与えれば良い訳ですね

回転角度を自由に決められて、すごく便利です

ちなみにモーター回転方向は、軸から本体の方向を見ての回転方向を言います
時計周りだとClock Wise (CWと言います)
反時計回りはCounter Clock Wise (CCWと言います)
だけど、これはメカ屋さんの話

減速機や取り付け方で回転方向は色々変わって行くので、電気屋としては、逆に回るようならひっくり返す位のノリで十分でしょう。

回転

さて、先ほどの時計モーターに戻ります
1秒に1パルス6度ずつ動く事が分かりました。

画面の都合があるので、60度だけ動かしてみましょう(笑)

スタートから9秒 都合10秒でパルスを10個払い出しました。1秒間に1パルスです。
角度は先ほどと比べ可変し、60度の位置で停止します。速度はやはり1rpmです

次に速度を上げてみましょう。

スタートから、4.5秒 都合5秒でパルスを10個払い出しました。0.5秒に1パルスです。
角度は同じく60度の位置で停止します。速度は倍の2rpmとなります

脱調

ステッピングモーターは、ローター(シャフトの部分)がステーター(皮の部分)の磁力に吸い寄せられて回転力を産んでいます

先ほどは、2rpm でしたが、200rpm、2000rpmと、どんどん速度を上げて行くとどうなるでしょうか?
電気の切り替えで磁力成分が変わるステーターに対し、ローターの方は実回転でステーターに付いていかなくてはなりません。

そしていつか、付いていけなくなる時が来ちゃいます

いわゆる、脱調 という奴です

脱調を起こした場合、ステーターは気づかずに磁極が切り替わり続けるのに対し、ローターは不貞腐れてプルプルしながら、同じ場所にとどまります

回転している状態ならば結構ついてくるのですが
一番のネックは加減速時です。
ローターに繋がっている、負荷全てを回さなくてはならないので、慣性力が効いてくるんですね

そこで、ローターが付いてこれるように、ゆっくりスタートしてあげます。
ミッション車で半クラを駆使して、4速発進するみたいなイメージですね

パルスの払い出しを表すとこうなります

パルスの密度だけだと、何のこっちゃ分からないので、速度グラフに関連付けて表しています。

図の様に優しく加速減速をすると、脱調せずについてきてくれるようになります。

位置ずれ

脱調は正直、やってみないと分からないところがあります。
この速さで脱調するから、制限7割位にしておこうとか、各思惑で決めます

脱調ならば、機械に付けているポジションセンサー等で、検知できることもあります。
嫌なのは、減速時に起きやすい 位置ずれ でしょう

脱調はローターがステーターに置いてけぼりを食う事で起こります
逆に位置ずれは、停止が急すぎてローターが前に行き過ぎてしまう場合に多発します

前述したように、ステーターの磁力にローターが引っ付いて回っています
なので、追い越した場合脱調しようにも、ローターは慣性力を伴って回っているので、今引っ付いているローターの、先ステップに引っ付きなおしてしまいます。

そのまま指令通り回りましたよ~っという顔をして、位置ずれを起こしているのです。(この辺りは調べずに経験的に書いています(笑)

そうすると、時計モーターで30秒の位置に起動させたのに、32秒の場所に止まっていたりして、せっかくのステッピングモーターが台無しになってしまいます。

この手の位置ずれは、時々起こる事が多いので、皆さん原点復帰を毎回かけたりするのですが、減速を緩やかにする事で解決できる事も多々ありますので、一度試してみる価値はあるでしょう

マイクロステップ

ステッピングモーターの利点は、安く位置決めできる事にあります

時計モーターは1ステップ6度だと書きましたが、時計の秒針を動かすには十分でも、機械を動かすとなると、ちと物足りません
秒針と同じですから、めっちゃカクカク動くでしょう

そこで、疑似的に停止位置をずらせてやります
ローターステーターの、一番引っ付きの良いところが、60ステップあるのですが、それを フルステップ と呼びます

じゃあ、引っ付き具合の1番良い所と2番目に良いところを使ってみよう!
という事で、1番と2番を使うと、単純に120ステップになりますね。

360÷120=3 となるので、1ステップ3度という事になります

3度・・・正直まだまだ微妙です。
きっと、カクカク動くでしょう

じゃあ、3倍、5倍と分割数を増やして行けるのですが、想像通りローターの引っ付き力は低下して行きます。即ちトルクの低下に直結します。

分割の事を マイクロステップ と呼びます

これ以上トルクを落としたく無い場合、トルクを増大させましょう
そういう場合は、減速機 を使います。

減速というからには 速度は減りますが、トルクは上がります

1/5の減速機をモーターに取り付けた場合、減衰効率を考えなければトルクは5倍
ステップ角は1/5となります。

と、いう事は

マイクロステップ5倍に減速機1/5を接続した場合
ステップ角 =360÷(フルステップ × マイクロステップ倍率 ×減速比)なので

 0.24 =360÷( 60  × 5 × 5 )となりますね

1ステップ 0.24度 となる訳です

これだと、時計モーターで30秒の位置に移動させようとすると、750の指令パルスが必要になりますね。
恐らくスムーズに回転しているように見えるでしょう。

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