装置の立ち上げに際して、調整すべき箇所はたくさんあります。
シリンダ駆動装置の、スピードコントローラー調整もその一つ
普段、何気なくやっている作業を再確認がてら一緒に見て行きましょう。
どうも!ずぶです。今回は シリンダのスピードコントローラー調整
基本を確認
どれほど複雑なシステムだとしても、究極的にはこう
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2020/11/基幹1.png)
負荷にエアさえ繋げば動くのです(笑)
ただ、
このままだと工場の高い圧力で、ワークが破損してしまうかもしれません。
そんな訳で、レギュレータ(減圧弁)の出番です。
(最近の空圧機器は比較的頑丈なので、工場圧程度ではそうそう壊れません)
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2020/11/レギュレータ2.png)
これで、レギュレータの下流は、全てこの圧力 という事ですね。
書く程ではないのですが、前振りだと思って下さい(笑)
速度を調整しよう
シリンダ速さの調整には、スピードコントローラー が便利です。
ツマミを回すだけで、速度の調整ができますものね。
↓これは 日本PISCOさん の奴
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2020/11/スピコン3.png)
シリンダに接続した時の記号はこう
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2020/11/スピコン4.png)
逆止弁 と 搾り弁 で構成されている事が分かります。
お分かりのように、シリンダーに直接働きかけて調整している訳ではなく
エアの流入量を調整して、速度を調整 しているのです。
流入量は圧に比例します。
安定して動作させる為には、レギュレータが必要なのですね。
メーターインとメーターアウト
スピコンには、方式が2種類ありました。
メーターイン と メーターアウト です。
先程の構成に、エアが流れる時は
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2020/11/チャッキ5.png)
このように流れますよね。
計量(メーター)が 排出(アウト)時に効いてくるので、
このスピードコントローラーは、メーターアウト である事が分かります。
逆止弁方向が逆 についていて、
計量(メーター)が 供給(イン)時に効くものが メーターイン でしたね。
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2020/11/メーターイン.png)
メーターアウト、メーターインどちらも使用感は同じですが、
ただの絞り弁だと思って調整すると、中々上手く行きません。
逆止弁の向きに気を付けて、それぞれの特徴を見てみましょう。
まずは、エアの流れ量を描き足してみます。
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2020/11/メーターアウト6-1.png)
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2020/11/メーターイン7-1.png)
矢印の太さ は圧力では無く、流量 だという事に気を付けて下さい。
言葉で纏めると
メーターアウト
押し側に大流量で充填して、排気側からは絞り流量で出て行きます。
押し側>排気側となりますが、絞り流量が抵抗となってすんなり排気できません。
その バランスがシリンダの速度 となります。
メーターイン
押し側は絞り流量で充填して、排気側はフリーで出て行きます。
押し側への流入量がそのままシリンダの速度 となります。
実際の調整は、
ロッドの 出る速度を調整する場合
メーターアウト なら、排気側
メーターイン なら、吸気側 のスピコンを調整すれば良いのですね。
一見、 メーターイン の方が押しの調整はし易そうですが、
充填途中でも動作圧を越した時点で動き出しが始まり ます。
その結果、外因等に押し出し時のトルクが負けたりしてギコギコした動き になりがち。
従って、
シリンダ 制御は メーターアウト での調整が安定し易く一般的となっています。
メーターアウトの、ここがキモなのですね。
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2020/11/シリンダ部.png)
万能ではない
重量の変化するもの
例えば、反転機構などで苦労した事はないでしょうか?
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2020/11/反転機構8.png)
こんな感じのヤツ
これに メーターアウトのスピコンだけ を繋いだと想定して、順番に考えてみましょう。
頂点で荷重が転換した途端、下向き(シリンダが引っこ抜かれる)方向に力が加わる
↓
排気側のシリンダ内の エアが重さで圧縮 される
↓
押し側のシリンダのチャッキからエアが吸い込まれる
↓
一気にシリンダが動いた後、再度安定する
![](https://zubu.jp/wp-content/uploads/2020/11/反転機構9.png)
下向きの力がかかる瞬間、ガックン とした動きになるのですね。
こういう場合は、押し側にメーターインを繋ぐ事で、吸排気両方を制限してガックンが低減できたりします。
押しと排出両方の圧力で、シリンダを固定するイメージです。
エアは、温度や圧縮で体積の増減があるので、負荷が変動する制御っていうのは、やや苦手なのですね。
まとめ
最終的にはシリンダ内はレギュレータ圧で充填されますから、
スピードコントローラー と云うのは、充填速度のスピードをコントロール しているという事なのです。
これらをストレス無く調整してくれるのが、電動シリンダーなのですが、=コストです。
良い物を作り込むのも大切ですが、低コストで行けるところは行くってのも大切なファクター。
何より、制御が楽ちんですもんね(笑)
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