シリンダのスピードコントローラー調整

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装置の立ち上げに際して、調整すべき箇所はたくさんあります。

シリンダ駆動装置の、スピードコントローラー調整もその一つ

普段、何気なくやっている作業を再確認がてら一緒に見て行きましょう。

 

どうも!ずぶです。今回は シリンダのスピードコントローラー調整

基本を確認

どれほど複雑なシステムだとしても、究極的にはこう

 

 

負荷にエアさえ繋げば動くのです(笑)

 

ただ、

このままだと工場の高い圧力で、ワークが破損してしまうかもしれません。

そんな訳で、レギュレータ(減圧弁)の出番です。

(最近の空圧機器は比較的頑丈なので、工場圧程度ではそうそう壊れません)

 

これで、レギュレータの下流は、全てこの圧力 という事ですね。

 

書く程ではないのですが、前振りだと思って下さい(笑)

 

速度を調整しよう

シリンダ速さの調整には、スピードコントローラー が便利です。

ツマミを回すだけで、速度の調整ができますものね。

 

↓これは 日本PISCOさん の奴

 

シリンダに接続した時の記号はこう

 

逆止弁 と 搾り弁 で構成されている事が分かります。

 

お分かりのように、シリンダーに直接働きかけて調整している訳ではなく
エアの流入量を調整して、速度を調整 しているのです。

流入量は圧に比例します。

安定して動作させる為には、レギュレータが必要なのですね。

 

メーターインとメーターアウト

スピコンには、方式が2種類ありました。

メーターイン と メーターアウト です。

 

先程の構成に、エアが流れる時は

このように流れますよね。

 

計量(メーター)が 排出(アウト)時に効いてくるので、

このスピードコントローラーは、メーターアウト である事が分かります。

 

逆止弁方向が逆 についていて、

計量(メーター)が 供給(イン)時に効くものが メーターイン でしたね。

メーターアウト、メーターインどちらも使用感は同じですが、

ただの絞り弁だと思って調整すると、中々上手く行きません。

 

逆止弁の向きに気を付けて、それぞれの特徴を見てみましょう。

まずは、エアの流れ量を描き足してみます。

 

 

 

矢印の太さ は圧力では無く、流量 だという事に気を付けて下さい。

 

言葉で纏めると

メーターアウト
押し側に大流量で充填して、排気側からは絞り流量で出て行きます。
押し側>排気側となりますが、絞り流量が抵抗となってすんなり排気できません。

その バランスがシリンダの速度 となります。

 

メーターイン
押し側は絞り流量で充填して、排気側はフリーで出て行きます。

押し側への流入量がそのままシリンダの速度 となります。

 

実際の調整は、

ロッドの 出る速度を調整する場合
メーターアウト なら、排気側
メーターイン なら、吸気側 のスピコンを調整すれば良いのですね。

 

一見、 メーターイン の方が押しの調整はし易そうですが、
充填途中でも動作圧を越した時点で動き出しが始まり ます。
その結果、外因等に押し出し時のトルクが負けたりしてギコギコした動き になりがち。

従って、

シリンダ 制御は メーターアウト での調整が安定し易く一般的となっています。

 

メーターアウトの、ここがキモなのですね。

 

万能ではない

重量の変化するもの

例えば、反転機構などで苦労した事はないでしょうか?

 

こんな感じのヤツ

 

これに メーターアウトのスピコンだけ を繋いだと想定して、順番に考えてみましょう。

 

頂点で荷重が転換した途端、下向き(シリンダが引っこ抜かれる)方向に力が加わる

排気側のシリンダ内の エアが重さで圧縮 される

押し側のシリンダのチャッキからエアが吸い込まれる

一気にシリンダが動いた後、再度安定する

 

 

下向きの力がかかる瞬間、ガックン とした動きになるのですね。
こういう場合は、押し側にメーターインを繋ぐ事で、吸排気両方を制限してガックンが低減できたりします。

押しと排出両方の圧力で、シリンダを固定するイメージです。

 

エアは、温度や圧縮で体積の増減があるので、負荷が変動する制御っていうのは、やや苦手なのですね。

まとめ

最終的にはシリンダ内はレギュレータ圧で充填されますから、
スピードコントローラー と云うのは、充填速度のスピードをコントロール しているという事なのです。

 

これらをストレス無く調整してくれるのが、電動シリンダーなのですが、=コストです。
良い物を作り込むのも大切ですが、低コストで行けるところは行くってのも大切なファクター。

 

何より、制御が楽ちんですもんね(笑)

 

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