温度を調節してみよう

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温度を調節してみよう

温調、温調言うけれど、機器を引っ付けたら調節できた。

結局、何がポイントだったのかよく分からないまま、温度だけを変えている。
そんなんじゃ、面白くないですよね。

どうも!ずぶ です。今回は 温度を調節してみよう

 

まずは、ヒーターを繋いでみよう

当たり前ですが、繋ぎさえすれば、ヒーターは発熱します。

保温や霜とり等で使用する、低ワットのラバーヒーター などが該当しますね。

 

通電開始からの、ヒーター自体の温度グラフは、この様になります。

通電したら、即アチチ です。

 

 

対象物を温める 場合の温度グラフは、こんなのですね

水槽をヒーターで温める のを想像して下さい。
ヒーターに対して、遅れて温度が上がって 来ますよね。
でもって、いつかは熱均衡点で安定 します。

 

次に、出力が大きなヒーターと、小さいヒーターの温度グラフも並べてみましょう。

もちろん、ヒーター出力が上がれば、到達温度は上がり温度上昇時間も早くなります
逆もまた然りです。

 

この構成だと、温度が、上がる所まで上がる。それだけです。
温度調節というのは、無理がありますね。

ちなみに、こちら等は取り回しも良く、とても使い易いですよ。

http://www.tech-heater.com/

 

温度を調節しよう

調節するには、調節する為の機器を取り付けなければなりませんよね。
フィードバック用に温度計も必要です。

 

調節する為の構成

先ほどの構成に、温度調節ができるように手を加えます。

 

操作部は              SSR や SCR
コントローラは     温調器
温度計は              熱電対 や 測温抵抗
温度を調節するには、この組み合わせが必要となります。

温調をやりだすと、SSR というのが、頻繁に出てきますが、何のことはありません。ただのリレー接点 です。
ただのリレーなので、操作部を 有接点 に変えても操作はできます。

できますが、

温調制御は、何千、何万と入り切りを繰り返します。
なので SSRを使用しなくては、接点寿命が持たない のです。

温度調節の方式

を考える前に、ヒーターを扱う上でよく使う用語を3つ覚えておきましょう。

目標値 = SV       (SET Value)
現在値 = PV       (Process Value)
操作量 = MV       (Manipulated Variable)

 

温度を調節するにあたって、目標温度が熱均衡よりも低くなければ なりません。
ヒーターの限界値よりも、上の温度には行けないですよね。

 

それでは、温調方式を見て行きましょう。

出力固定方式

スライダック や SCR 等を使用して、MVを一定 にする方法です。

 

その際のグラフ

ヒーターの能力値を、赤線まで落として使っていますので、

SV到達時間は、遅い です。

出力の低いヒーターを使用しているのと、同じ意味ですものね。

 

また、外乱に依存します(夏は高めで、冬には低めになることでしょう)

精密制御には不向き です。

 

ワークの乾燥や、メインヒーター前のプレヒートで使用します。
安定しない流体や、ON/OFF制御やPIDで温度が収束しない場合に用いる事もあります。

ON-OFF制御方式

SV以下 なら、ヒーターON
SV以上 なら、ヒーターOFF

簡単で、分かりやすい制御方式です

 

その際のグラフ

 

SV到達時間は、最速 です。

制御の性質上、オーバーシュート した後、ハンチングを繰り返し ます。

 

精密制御が不要の場合、一般に使われる制御方式です。

 

PID制御方式

前もって設定してある パラメータで演算して、ヒーターを制御する方法です。

パラメータの頭文字が PID となり、それぞれ

比例帯    =       (Proportional)
積分時間 =I       (Integral)
微分時間 =       (Differential)

その際のグラフ

 

SV到達時間、温度目標値に安定するまでの時間、共に十分早いです。

 

比例帯に入るまでは、ON-OFF制御で動き、入ってからは積分時間を元に微調整を掛けて安定動作に導きます。
グラフで、ヒーター曲線からの乖離ポイントが、まさにPIDに変化した瞬間です。
ちなみ が 0 だと、比例帯は発生しないので、ON-OFF制御 となります。

 

PID は 対象物の比熱 や 外因の全て を、ひっくるめてパラメータ化です。

なので、違う対象物 や 温度によって性質が変わる対象物 の場合、そのタイミングで違うパラメータを書き込まなければなりません。

当てずっぽうで、PID を割り出すのは、かなりの慣れが必要です。
普通は AT(オートチューニング)を使用し、当たりを付けた後パラメータを崩して行きます。
RKCさんが車の運転に例えて、分かりやすく説明してくれていますので、ご参考までに

理化工業株式会社 施術解説

 

 

まとめ

温度調節を行う場合の注意点は紹介させてもらった範囲で、殆どが網羅できます。

 

温度調節で難しいのは、最初に出てきた、ヒーターに対して対象物の温度追随の遅れにあると言えます

中々冷めない(例えば中華あん)のような対象ですと、オーバーシュートすると全然下がってこないような事もありますので、冷却水を回しながら加熱する といった方法もあります。

 

対象物が、ヒーターON/OFFに対してすぐ追随するもの程、調節し易いのです。